魚も人も住めない海

海に魚がいなくなる

人間は魚を獲り過ぎている…

現在の環境状態がこのままで続けば、早くて2048年に海の魚がいなくなると言われています。
その問題の原因は挙げればきりがありませんが、基本的にどれもが人間により引き起こされているものです

今日把握されている海の生物は、過去50年で個体数が半分以下に減少しています。一方、人間が普段食べている魚介類のうち、3割以上の資源は需要以上だそう。要は人間が魚を獲りすぎているということなんですが、実はただの無計画な過剰漁獲というそれだけの単純な事態じゃないんです。

ゴーストが魚を捕まえている

今水産資源の減少や生態系への影響が問題視されているのが、人間が投棄した人工物が海中に残り、海の生物を知らず知らずのうちに殺してしまっているという事態。ゴーストフィッシングとも呼ばれる現象で、主に釣りや漁業に使われる漁具が海に放置されることで、意図しない形で魚介類や海洋生物を捕獲してしまっています

カニ籠のように、入り込んだら外に出られない構造のものがそのまま海に投棄されています。中で死んだ生き物が餌となりまた別の生き物がそこに入り込み半永久的に繰り返されます。タコやカニなどは漁獲される量よりゴーストフィッシングによる被害量の方が多いという説もあるほどです。

それから、漁業ではない一般の釣り人による被害も出ています。海に紛失したルアーやレジャー中に廃棄したプラゴミが生物を傷つけていますし、釣り人の捨てた糸に絡まって死んでしまう海鳥もいます。

漁業や釣りは時には厳しい顔も見せる自然での作業ですから、とにかく道具は丈夫で長持ちすることを前提に作られています。ですがその頑丈さこそが、ゴーストフィシングが起こる最も大きな原因となっています。昨今では自然分解素材でできた製品が開発され普及し始めているようですが、現状では永久に消え去らない凶器でしかありません。

プラスチックの海

もちろん、海から魚がいなくなるのは漁業や釣り道具による被害だけではありません。
海がどんどん、魚が住めない場所になってしまっているからでもあります。

毎年約800万トンのプラスチックが海に流れ込んでいます。そして今海には合計1億5,000万トン以上のプラスチックが漂っていると考えられています(WWFジャパン調べ)。

現代、日常生活のために生産されている何かしらのプラスチック製品の材料のうち、平均して7%が添加剤。添加剤には環境ホルモンと呼ばれる多くの種類の化学物質が使われており、有害とされるものや健康被害にリスクのある可能性のものも含まれます。つまり、そんな有害性のある物質が海に流れ込んでいるということ。

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さすがにもう知っていないとまずい”マイクロプラスチック”

丈夫で軽量、コストも安いことから、あらゆるものがプラスチックで作られるようになりました。丈夫にすることが目的であるからこそ、プラスチック製品の中には廃棄後400年以上も海の中を漂える可能性があるものがあるそうです。実際に近年、1984年製のレトルト食品の袋が原形に近い状態で海底で見つかったこともあります。

原型を留めるものもある一方、多くのプラスチックは海洋を漂いながらやがて紫外線や海流にさらされることで小さなプラスチック片になり海底に沈みます。砂粒ほどの大きさになったプラスチックをマイクロプラスチックと呼び、今や説明不要にもなってきていますよね。

マイクロプラスチックほどのサイズになってしまうともはや回収することは難しいのが現状。そのためマイクロプラスチックは、そのまま海中を漂い、海洋生物が誤飲してしまっています。そしてそれが食物連鎖により、最終的に人間に還ってきているんです。現代人は1週間にクレジットカード1枚分の重量(約5g)のプラスチックを食べていると言われています。

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改めて知りたい海の素晴らしさ

酸素は光合成によって作られます。光合成というと森林をイメージする方は多いかもしれません。でも実は、森林から生み出される酸素とほぼ同じ量の酸素が、海からも生まれているんです。

それは海中をただよっている植物プランクトンや海藻が太陽の光に当たると光合成をして酸素を海中へ放ってくれているからです。それだけでなく水素、酸素と二酸化炭素中の炭素を結びつけて、炭水化物やたんぱく質などの有機物を作り出してくれています。これが海洋生物すべての食物連鎖のベースです。大昔酸素を生み出すことで動物が陸上で生活できる環境を作ってくれたのも、植物プランクトンのおかげです。

海は地球の表面積の7割を占め、数えきれないほどの生物がそこに住んでいます。人類にだって、海に頼る生活をしている人は現代にも約30億人いるんです。

人間は海の中で呼吸はできませんが、海がなくても呼吸はできないんです。海を大事にしましょう。

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