無能ほど自己評価が高い件… 時には謙虚になるべき現代人

気分がスカッとする…ダニング・クルーガー効果

職場や日常生活の身の回りに痛いほど自己評価が高い人間がいて疲れ気味の方に、いいニュースです。
それは【能力がない人間ほど“自分は優れている”と思い込みやすい】という事実です。

この事実というのは、1990年アメリカ・コーネル大学心理学者、デヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーによる研究で提唱された“ダニング・クルーガー効果”という心理効果のこと。
2000年に“人々を笑わせ考えさせる研究”に与えられるイグノーベル賞を受賞したことで、世界からにわかに注目を浴びた研究でもあります。

どんな調査でこの効果を確かめたかというと、大学生を対象に筆記試験を行いその成績を自己評価してもらうというものでした。
すると、成績の悪い人ほど自己評価が高く、成績の良い人ほど自己評価が低いという結果だったそうです…!!

つまりは、自己認識力が不足している状態ほど、人は自分自身に対して適切に評価できなくなってしまい、そのために経験や思い込みが強く作用し非合理的な判断をしてしまう心理傾向があるそう。
そして最終的に、自分は優れているという謎の思考に辿り着いてしまうんですね。
なんとも痛快ですよね。

“レイク・ウォビゴン効果”や“平均以上効果”もある

似た効果は他にも多数あり、有名なのは“レイク・ウォビゴン効果”です。
1980年にアメリカ・ホープ大学の心理学者チームにより研究され提唱された効果で、ある集団内にいると自分を過大評価してしまいやすいというもの。
こちらの効果の名前はアメリカの作家ギャリソン・ケイラーがラジオドラマで描いた架空の町の名前に由来しているそう。
ですが、自分の能力を平均より上だ、と思い込んでしまうため別名“平均以上効果”とも呼ばれます。

人は何かするとき得になんの根拠もなくとりあえず自分の能力は平均以上だ、と本能的に思ってしまいます。
例えば、“自分はまだまだ自分の判断能力に自信があり、なかなか車の免許を返納しない高齢者”“自分でやった方が早いし正確だと思い込み、部下や後輩に仕事をうまく振れない非効率な組織人間”など、みんなそうです。

ただ他者に害を与えなければいいかもしれませんが、この複雑な現代では、言動により周囲の気分を害するような“痛い人”も多いのは事実です。
表面では謙虚なくせに心の中では“きっと自分の能力は低くないだろう”と思っているような人ですね。

自信満々で偉そうなのに仕事能力の低い人なんかはまさにこういう状態にあることになります。
だから、そういう人に対しては心の中で“気の毒だな”と思ってあげることが最も適当な対応なのかもしれません。

自分がこんな心理傾向になっていないか確かめるには??

これを聞いて、おおかたの人は心がスッキリする一方、ドキッとした人もいるかもしれませんね。
“あれ、もしかして自分こそ、ダニング・クルーガーじゃないだろうか?”なんて心配になっていませんか?

でももしそんな風に心配になっているのなら、大丈夫です。

なぜなら、本物のダニング・クルーガーはまさか自分がそうだと微塵にも思わないからです。
だから、もしご自身がそうじゃないかと心配になっているんだとすれば、自己を正常に判断できているという裏付けになります。

ちなみに、自分を信じることはもちろん大事ですよね
でもそれはあくまでも自分の中で大事なことであり、わざわざ他人にそれを発信しなくていいことなんだと思います。

正しい自己評価ができるよう、良識あるよいパートナーや友人を持ちつつ、自分を客観視できるようありたいですね🌱

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